脳の機能的な問題により、物事のとらえ方や行動のパターン、コミュニケーションなどに違いが存在し、それによって日常生活に支障をきたす状態です。
発達障害には、知的障害、自閉スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害、協調運動障害、チック症、吃音などが含まれます。同じ障害名でも特性の現れ方が異なったり、精神疾患も同時に持っていることがあります。
<代表的な発達障害>
自閉スペクトラム障害
他者とのコミュニケーションに困難が生じます。目を合わせる、表情に表す、表情から読み取る、他者の気持ちを汲み取る、状況や話の流れを読み取るなど、良好なコミュニケーションを取るために必要な様々なスキルを身に着けたり、活用することが困難なために人づきあいで困ってしまいます。
また、こだわりが強かったり、興味の対象が限られていたり、感覚の過敏さ(あるいは鈍感さ)もあります。それらによって、環境に合わせることが困難であったり、日常生活に支障をきたしてしまいます。
注意欠如・多動性障害(ADHD)
持ち物の管理ができない、時間の管理ができない、物事に順序だてて取り組むことができない、つい先延ばしにしてしまう、一つのことに集中し続けることができないなどが不注意とよばれる症状です。じっとしていることができない、のんびりと過ごすことができない、いつも身体のどこかを動かしてしまう、しゃべりすぎる、思ったことをすぐに行動にうつしたり口に出してしまうなどが多動・衝動とよばれる症状です。
小さい頃は多動・衝動が優勢と言われています。年齢が上がるにつれて、段々と収まり、不注意の症状が日常生活では目立ってくることが多いと言われています。また、多動・衝動の症状がないタイプや不注意の症状がないタイプもあります。
学習障害
全般的な知的発達には問題がないのに、読む、書く、計算するなどの特定の学習のみに困難が認められる状態です。例えば、会話は問題なくできるのに、読むことだけが困難であったり、書くとなると難しいなど、特定のことだけが年齢相応に行えません。
<発達障害の治療>
自閉スペクトラム症を直接治療する方法は現状ありません。抑うつ気分や不安、イライラなどの情緒の問題や不眠などの問題があれば、薬物療法が用いられます。コミュニケーションの困難やこだわりなどについては特性として自己理解を深めるとともに、周囲の理解と協力を得ながら、本人にとって過ごしやすい環境を少しでも整えていくことを目指します。
ADHDには治療薬があります。いくつかの薬剤があり、その人に合った薬剤を選択、調整していきます。基本的に内服を止めてしまうと、特性に由来する困りごとが再燃してしまいます。また、薬物療法だけでなく、自己理解や周囲の理解もとても重要です。その人それぞれに実際の生活上で生じる困難は異なりますので、本人に合った工夫、補い方を見つけて、生活を少しでも送りやすくしていくことを目指します。
学習障害を直接治療する方法は現状ありません。苦手な領域に合わせて、本人が少しでも学習しやすいような工夫をとったり、音声教材やパソコンなどのデジタル機器を用いて学習を支援したり、生活上の困難をできるだけ補えるようになることを目指します。

