気分が沈む、滅入る、落ち込むことが1日中続く、何をしても楽しめず、今まで楽しめていたこともやりたりと思えない、食欲もなく、眠れない、眠っているのに寝た感じがしない、疲れやすいといった症状が現れ、その結果、日常生活に支障をきたしてしまう疾患です。
うつ病は気分障害の一つで、抑うつ気分を中心とした症状が現れます。抑うつ症状が現れる疾患は他にもあり、双極性障害(躁うつ病)などがあります。双極性障害では抑うつ気分だけでなく、気分が高揚するなどの躁症状がみられます。うつ病と双極性障害では治療法が異なるため、専門家による判断が必要となります。
うつ病が発症する原因は正確にわかっていません。感情や意欲に関係する脳の働きに何らかの不具合が生じているものと考えられています。うつ病に関係するものとして、精神的なストレスや身体的なストレスが関わっていることも多く、辛いことだけでなく、結婚や進学、就職などうれしい出来事の後にも発症することがあります。
落ち込むことは私たちの自然な感情の変化の一部であるため、落ち込んでいるとうつ病というわけではありません。有病率は研究により幅がありますが、おおよそ10%前後と考えられています。多くの人はうつ病を経験しません。ただ、1割の人が経験する疾患であることから、めずらしい疾患ではなく、誰もがかかる可能性のある疾患です。
<抑うつ気分による症状>
精神的な症状
- 気分が落ち込む、滅入る、悲しい
 - わけもなく涙が出てくる
 - 喜怒哀楽がわかない
 - 楽しい感覚がしない、物事に興味がわかない
 - 何もしたくない、意欲がでない
 - 頭が働かない、頭の回転が遅く感じる
 - 集中できない、決断できない
 - 希望が持てない
 
身体的な症状
- 食欲がないor食欲が増す
 - 眠れない、途中で目が覚める、寝ても寝ても眠い
 - 疲れやすい、身体がだるい
 - 胃痛、吐気
 - 頭痛、めまい
 
このような症状は落ち込んでいると、多かれ少なかれ現れてきます。たくさんの症状があり、数週間~数か月にわたり続いている場合には精神科や心療内科の受診が推奨されます。
症状の多さもありますが、それぞれの症状の程度が違うこともあります。症状の程度が強い場合、時には生きていたくないと感じることも出てきます。そのような場合はより病状が重たいと考えられます。
<うつ病の治療>
うつ病の治療法は薬物療法、精神療法・心理療法、その他の方法がありますが、まず取られる方法は薬物療法です。抗うつ薬と呼ばれるお薬の内服による治療を行います。より病状が重たいときには薬物療法による治療が重要になります。
精神療法・心理療法では認知行動療法が推奨されています。うつ病治療に効果的であることが多くの研究によって確認されている専門的な治療法です。ただし、病状が重たい場合には効果が期待しにくく、病状によっては推奨されないこともあります。
その他の治療法には高照度光療法や修正型電気けいれん療法、経頭蓋磁気刺激法などがあります。しかし、実施には専門的な装置や施設が必要となるため、どの医療機関でも受けられるわけではありません。
このような専門的な方法以外にも、休息をとること、睡眠や食事を十分にとること、適度な運動をすること、飲酒を控えることなども重要です。特に治療初期では休息を優先にする必要があるため、そのための環境を整える(例:休職、休学など)ことにも取り組みます。

