以前は躁うつ病と呼ばれていた疾患です。気分が落ち込む、興味がわかない、意欲がわかないといった抑うつ症状と気分が高揚し、活発に活動し、寝ないでも生活ができてしまうような躁症状が繰り返し生じる疾患です。躁うつ病と言われていたことがあり、うつ病の一種のように誤解されがちですが、双極性障害とうつ病は異なる疾患です。
有病率は0.4~0.7%程度と言われており、うつ病に比べるとめずらしい疾患と言えます。ただし、多くの人が気分が落ち込んでいるときは問題と思いますが、元気なときは問題とは思わないため、見逃されやすい疾患と考えられています。
抑うつ症状はうつ病の時と同様です。躁症状、特に精神的な症状は抑うつ症状の真逆といってよいでしょう。
<躁症状>
- 気分が高揚する、理由もないのにとても幸せな気がして仕方ない
 - 自信に満ち溢れてくる、根拠もないが自分にはできそうな気がして仕方ない
 - 自分がとても特別な存在に思えてくる
 - 寝なくても大丈夫、寝るのがもったいない
 - 活動が急激に増える
 - イライラ、怒りっぽくなる
 - 浪費などお金の使い方が激しくなる
 
躁症状が重たい場合はⅠ型、軽度の場合はⅡ型と分類されます。Ⅱ型は躁症状が軽度であるため、より見逃されやすいと言われています。
<双極性障害の治療>
治療は薬物療法が中心となります。用いられるのは気分安定薬や非定型抗精神病薬と言われるお薬が中心です。抗うつ薬が用いられることはほとんどありません。定期的に血中濃度を測定し、治療に十分な量となっているかを評価しながら治療を進めていきます。そのため、服薬を忘れずきちんと飲み続けることが重要です。
精神療法・心理療法については今のところ効果が確認されている方法がありません。疾患や自己理解により症状や日常生活のセルフコントロールを身に着けるサポートとして用いられることはあります。

